魅惑の島、マルタ島滞在記 

ヨーロッパの歴史や南欧の陽気さが感じられる魅力的な島だった。

マルタ島に旅行されたO様から滞在のご感想が届きました。

マルタ訪問は2~3年前NHKで見たネコ主役の再放送番組がきっかけ。

成田から南回り11時間半で未明にドバイ着、乗換のため空港で5時間、キプロス経由で7時間。時間的にはかなり長いが、何故か旅情をかきたてる地中海の小さな島国、多様な歴史を感じさせる建築物や要塞都市、治安が良く英語が通じ気候は温暖。それとネコ。これだけ材料が揃うと距離の遠さはかき消されてしまう。

ドバイからペルシャ湾を北西へ、目前はイラン、ホルムズ海峡。サウジ、内戦のシリア、レバノン、イスラエルあたりの上空を飛ぶ。核兵器疑惑や民主化運動、酷い内戦が今まさに真下で繰り広げられている。日本にいれば遠い国の出来事、機内窓からあらためて考えさせられる。

現地午後2時過ぎマルタ着、平日でも両替所はすべてクローズ手持ちの僅かなユーロが救いだった。ホテルまではタクシー、ドライバーは無口で運転がうまいのか荒いのか判断しづらいがアクセルを踏み続けていた。信号機は非常に少ない、十字路交差点はロータリーになっておりT字路もそうだが、間合いや気合で合流しすり抜けていく。路駐だらけの狭くなった道をいとも簡単にすり抜ける。狭路で対向車が来るとあうんの呼吸でどちらかが待つ。交通量もそこそこあるので常に瞬時の判断が必要にみえるが、現地の人は”こんなの当たり前だよ、どうしてそんな事聞くの?”と言うだろう。

宿泊はスリーマの三ツ星ホテル、部屋や設備はそれなり。けれど湾に面した広めのバルコニーがとてもよかった。左方にはバレッタの城壁、前方にマノエル島、右は湾に面したプロムナードや観光船が眺められる。近くのスーパーで1リットル150円のマルタ赤ワインと、これまたバカ安のチーズやパンチェッタ、サラダや惣菜を購入し夜景を見ながらの食事。どれも美味しく心地良い風も相まって、この瞬間だけでもここに来て良かったと思えた。

スリーマはネコがいそうな公園があり事前に見当をつけてきた所。けれど、公園は見つからなかった。NHKの収録は2002年、黄色の丸バス廃止は知っていたが、開発や観光地化がここ数年で街の景色を変えたのかもしれない。ギリシャの島々のように、そこら中ネコがいるものと思っていたが期待はずれで、街歩きしているとたまに出会うぐらいだった。そんな時、ネコと共に番組主役?の通称キャットマンに街角でばったり。こちらから声をかけ出会いを喜んだのは最初だけ。突き出た腹と早口な英語、傲慢に感じる態度は、想像していた素朴なキャラとは全く違っていた。’Donate’というのでお金を渡すと「一緒に写真を取ろう」と人柄がガラっと変わる始末。彼はNHKからたくさんお金をもらったと自慢げに話した。素朴なキャラはやらせだったのか、お金が彼を変えたのかは知らないが、もし彼に偶然あったら一緒にエサやりしようと、キャットフードを持参したものの残念な結末に終わった。

10月初旬のマルタ。昼は日差しが強く道行く欧米観光客に混じって日傘をさす唯一の日本人だった。

バレッタで教会めぐり。歴史の重みというか壁床天井の装飾のどれもが素晴らしく本物を感じさせられる。偶然立ち寄った教会でパイプオルガンと透き通る声の聖歌を聞くことができ、信者でなくても聞き入るほどこれまた本物。ところ変わって、ムディーナ手前のクラフトヴィレッジ。陶器や銀細工など南欧工芸品を見るのが楽しみの一つでもあったので、十数の中小工房や売店めぐりに時間をかけすぎ、その後の予定が大きく狂ってしまった。

小高い丘のマルタストーンの壁に囲まれた古都ムディーナ。数軒のレストランやショップがあり、メイン通りは観光客が多いけれど、一歩路地に入ると閑散とし人気が無くなり中世を感じさせる空間となった。

マルタを振り返って・・・。欧州圏でありながら(ローカルも含め)英語が通じ、観光商業化や近代化が進み惜しい面はあるが、ヨーロッパの歴史や南欧の陽気さが感じられる魅力的な島だった。また、長期滞在が可能ならイタリアやギリシャなど地中海巡りの拠点として最適な地なのかも知れない。

グローバルエアトラベルさん、いろいろアドバイスいただきありがとうございました。